
コーチングは大手企業を中心に、日本でも広く社員研修の中に定着してきました。 しかし、それが結果につながっているかというと必ずしもそうではありません。それは組織変革に向けたリーダーシップ関連
のプログラムなど、類似する多くの取り組みにも相通じることだと思います。
その第一の原因は、 < 学ぶ目的意識を持ち、学ぶことに合意していない人が社員研修に参加する >ことにあると私たちは考えます。 逆に言えば、たとえば「自分の課題を解決するためにコーチングを学んで活用したい」という意志を持つ人なら、
学習効果は飛躍的に上昇する可能性が高いのです。 基礎的なコーチングの研修などは高度な知識や特別な資質を求めるものではありません。 卓越した専門性やビジネス経験などをもっているか否かより、
< 学ぶ意欲が効果を左右する >のです。
したがってマネジメント層の中でコーチングについての関心やニーズあるいはシーズを持つ人を発掘し、 そうした人々を「社内コーチ」のロールモデル候補として、まず対象者にすることをお勧めします。
このように説明すると、 「限られたマネジメント層だけに社員研修を行っても、組織全体の成果につながらないではないか」 という反論や疑問をいただくことが度々あります。
そこで二つの簡単な問いについて考えてください。
< 社員研修を適度にやり過ごして職場に戻る人を大勢つくると、その後どんなことが起きるでしょう >
< たとえ限られた数でも研修を実行に移して結果を出す人が出現すると、その後どんなことが起きるでしょう >
社内コーチ(あくまでここで御説明する上での仮称です)自身の変化と、社内コーチを取り巻く職場の変化。 それが「意欲的な学び」の土壌を耕す第一歩となります。
元サッカー日本代表の中田英寿氏が、あるテレビ番組で次のようなことを語っていました。
「日本の選手はとても巧い。でも世界でなかなか勝てないのは、練習で使える技術を磨いているから。海外の選手は 試合で本当に使える技術を磨いている。そこに大きな差がある」。
これはビジネスの現場における学び方、社員研修のあり方にも通じる話です。 「コーチングを学んだ成果は、どのように測定すればいいのか」という質問を受けることがあります。
これは組織変革やリーダーシップなどに関連するプログラムに広く共通する疑問のようです。
この疑問には、画一的な回答ではなく次の問いをお返ししています。
< なぜ、職場のリアルな課題の解決や一人ひとりの目標達成と直結させないのですか >・・・ コーチングやリーダーシップのプログラムを社員研修というかたちで学ぶ中には、
< その学びを資源にして、どう目標に向かっていくか >を計画することが含まれているべきです。
組織変革の考え方やスキルを学んだ後で、「組織変革の必要性が十分に認識できていない」などというのは、 冗談にもなりません。ところが実際には、研修先にありきで「それをどう活かすか」がデザインされていないケースが非常に多いのです。
これは日本における社員研修の大きな欠陥です。集合研修それ自体が目的化しているようでは、忙しい現場にいる社員のみなさんを本気にすることはできません。
自発的に学ぶことを求める参加者を中心にラーニングデザインをする過程で、それぞれの課題と解決手法の適合性を検討しなければなりません。 私たちは社員研修を企画される段階で十分なヒアリングを行い、私たちの専門性が< 社員研修の受講後に職場で活かされる状況か >を考えます。
そして組織変革に向けた取り組み、リーダーシップの開発やコーチングが有効だと判断できた場合、< 社員研修の受講後に行動を起こし継続する仕掛け >
を一緒に考えます。
一過性の研修を行う“講師”ではなく、結果責任を共有する“コーチ”として徹底的に職場での行動支援に関わります。
コーチングは一過性の安易な社員研修で紹介されることによって、さまざまな誤解や誤用が生じています。典型的な例の一つが、「コーチングでは一切、相手に指示や命令をしてはならない」というものです。
その背景にあるのが、「コーチングではコーチが相手にさまざまな質問を投げかけることで、相手の中にある答えを引き出す ことが重要」という考え方です。たしかに質問は対話の質を高めるために極めて重要な要素です。また質問と合わせてコーチングにおいて強調される「相手の話に耳を
傾ける」・・・傾聴も等しく重要です。ただ、これら「コーチングスキルの教科書的な説明」によって、コーチングが“一つの決まったコミュニケーションスタイルを
を用いる技法”と解釈されるケースが増えました。
ここでまずお伝えしたいのは、「コーチング」について明確で統一された定義はないということです。 カウンセリン グやセラピーと同じように、実にさまざまな考え方があります。しかし一方で、十分に練られたコーチングの考え方は根底で通じる共通点と原理原則があります。
それを私たちは次のように整理しました。
(一)机上の理論ではなく古今東西における“名伯楽”の言動やふるまいの共通項を抽出してモデル化している、
(二)人が もつ可能性を肯定している、
(三)人と人の信頼関係を対話や行動の礎としている、
(四)双方向でやりとりする活き活きとした対話を手法として重視している、
(五) 単発、散発的なものではなく、互いの合意のもとに一定期間、継続するものである、
(六)形式ありきではなく、目の前にいる相手およびその状況を尊重する個別対応 のアプローチである、
(七)人々のより良い生き方の探求、幸福な社会の実現に寄与せんとする高い倫理と情熱が支えとなる。
これが私たちが世界中のさまざまなコーチングおよび関連するアプローチを学習、研究する中で見出した、「スタイルを超えた大事な共通点」です。 こうした本質に沿って社員研修におけるコーチングを考えると、何を学びどう実行に移すべきかが明確になります。
コーチングにおいては相手との信頼関係や相手を尊 重するところから、闇雲に上司が部下に指示命令を下し人を操作するような接し方は否定します。しかしそれはコーチングの本質をふまえた否定であって、コミュニケ
ーションの形式としての指示や命令が駄目だというわけではありません。
私たちは、ここにある本質論と形式論の混乱を解消することが、これから職場でコーチングを 生きたものにしていくこと、ひいては新たな時代のリーダーシップを出現させるためにも重要な課題であると考えています。

上の図は、どんな職務においても概ね共通する「成長の流れ」と、それぞれの状況に適応する「接し方」を対応させたものです。
左上の「ビギナー」は、職務に就いて 間がない新人や、異動したばかりで不慣れな仕事を始める新任者に多い状況です。
右上の「チャレンジャー」は、少し仕事を覚えたけれどマンネリ感や自信喪失などに より、意欲が低下した状況。“五月病”や“入社3年以内に30%以上が離職”といった現象に象徴される若年層はもとより、経験を積んだ中堅・ベテランでも、特定
職務で壁に突き当たったり、想定していた業務と異なっていたことへの戸惑いなどにより、このような状況に陥ることがあります。
いくつかの壁を乗り越えて、ある程 度その職務で実績を積んだ段階が、右下の「ステッパー」状況です。ある程度仕事ができるようになったぶん期待も大きくなり、特に昨今の職場では仕事が集中するな
どして、心理的に不安定な状態になりやすい段階でもあります。
こうした状況を乗り越えて知識や技能、意欲や自信といった心理面ともに高位安定するところまで進ん だのが、左下の「パフォーマー」状況です。
共に仕事をする相手を一面的に「人」として人物像を固定化せず、職務の負荷や職場の人間関係などを考慮して「変化する状況」をとらえていく。その中で上司と部下、
職場全体としての、「今この状況における最善の関係性」を探求し、合意形成をはかる。
これが集合的なリーダーシップの創出に向けたマトリックス・コミュニケー ション・マネジメント(MCM)の基本的な考え方です。 MCMを社員研修として実施する場合の直接的な対象者はマネジャー層になりますが、もとよりコーチングは「コーチャー」と「コーチィー」の合意にもとづく協働で
す。
職場での実行フェイズに向けて部下のみなさんのフォロワーシップにも働きかけ、マネジメントを合作化するプロセスが重要になります。
| スタートアップ・コンサルティング | 経営戦略⇒組織開発⇒人材育成を紐付けながら、適切なラーニングデザインを検討します。弊社の専門性を活かしたお手伝いが貴社の課題に沿ったものか否かを 考え、もし別の選択肢が必要と判断される場合は可能なかぎり情報提供、パートナープロフェッショナルをご紹介いたします。 |
|---|---|
| ラーニングデザイン | 弊社の専門性を活かしたお手伝いが効果的なものと判断、合意できた場合、基本コンテンツをもとに貴社の状況と課題に沿ってテーラーメイドで社員研修として のコーチング、経営・幹部層を対象とするエグゼクティブコーチング等のリーダーシップ開発、あるいは組織変革に向けた包括的プログラムのご提案等をさせていた だきます。 |
| プログラムの実施 | 進め方はテーラーメイド化したプログラムの内容によりますが、実施にあたっての当事者との合意形成などの準備フェイズを重視し、スムーズな実施につなげら れるように全体像を構築します。受講者の選定や日程の組み方なども社員研修の効果性を大きく左右しますので、できるかぎり助言させていただきます。 |
| アクションプランと実行支援 | エグゼクティブコーチングのように元来アクションを促進する非研修メニューはもとより、集合型の社員研修を起点とするプログラムにおいても「現場での行動」と「成 果の創出」を当初からラーニングデザインに組み込んだ内容とします。たとえば私たちの強みの一つである経験豊富なプロフェッショナルコーチのネットワークを 活かして、個人コーチをつけたマンツーマンの定期的なフォローなども行っています。 |
| 成果の検証とレポート | あらかじめ「明確な進捗および結果の検証ができるゴール設定」を行うことを前提に、プログラムデザインに沿って一定期間後に中間および最終の評価を行います。 詳細はプログラムの内容に応じてご相談の上、決定します。また第三者的な視点から今後の組織マネジメント課題を探り、継続的な組織変革のプロセスやリーダーシップ 開発についてご提案させていただきます。 |
上記プロセスは基本的な流れです。弊社のご提供しているプログラムの内容により柔軟に対応させていただきます。
なお弊社が主にご提供しているのは、経営・幹部層の皆様を主な対象とするマンツーマンのエグゼクティブコーチング、 上記で主にご案内した社員研修を起点とするコーチング導入支援、組織変革の全体像を視野に入れたビジョンマッピング(共有ビジョンの構築に関するコンサルティング)、および前述ビジョンマッピングの理念・手法をマネジメント
層のみなさまに学んでいただくビジョンマッピング研修、若手・中堅層の中長期的なリーダーシップ開発を視野に入れたフォロワーシップ研修などです。(詳しくは別頁で御案内いたします)
経営幹部の皆様を対象とするエグゼクティブコーチングについては、無料の体験セッションを随時お受けしています。こちらについてもお問い合わせください。
「企業は人なり」だから、ともかく社員研修を実施する・・・。こうした研修ありきの発想は、言い換えれば研修をコストととらえるものです。しっかり目的を定め、課題に焦点を当てて、未来にリターンを得るために投資する発想こそが、私たちの描く組織における継続的な学びの在り方です。
off−jt(職場外研修)を“職場外”だからといって、中身まで現場と乖離させるのは文字どおり無駄なコストになります。研修の効果性は、いかに「必要な学びであるという切実感」を伴う場をつくるかに、大きく左右されることを私たちは過去の経験から確信して
います。そして、基本的に優秀な人たちでればあるほど“研修を無難に演じる”ことができるのも知っています。
私たちは、そんな社員研修の壁にクライアントの皆様と一緒に挑み、職場の学びを変容させていきたいと思います。
必要な学びであるという切実感は、単に目先の問題を追いかけるリアリティがあればよい わけではありません。“茹でガエル化”を防ぎ、内省を促すことで未来を洞察する、いっけん職場のリアリティと乖離したところに最も重要な課題が潜んでいることもあります。そんな状況を見据えて、私たちは学びの場づくり、学べる環境づくりを全力でお手伝いします。

代表
吉田典生
1963年三重県伊勢市生まれ。日本のルーツ、伊勢神宮を公園代わりにして育つ。
関西大学社会学部・マスコミュニケーション学科卒業。現在、コミュニケーションコンサルタント、有限会社ドリームコーチ・ドットコム代表取締役。ICF(国際コーチ連盟)マスター認定コーチ(MCC)、米国インスケープ社認定DiSCインストラクター。
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