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中小企業の「成功するコーチング」(その1)

<ポイント2>
研修とコーチングの違いを理解する

 日本ではコーチングという個人のサポートよりも、研修という集団教育の中で「コーチング」が広がってきました。いわゆるコーチング研修というのは、コーチングの考え方や技法を学ぶ社員教育プログラムの一つです。

 一方、コーチングというのは自分にコーチをつけて、パフォーマンスを高めて目標を達成する手段です。
 日本の大手企業が好きな社員研修が間接的な目標達成に向けた支援であるとすれば、個人にコーチをつけるというのは、もっと直接的な目標達成や、それに必要となる能力開発のためのアプローチです。

 意識の高い企業ほど、マンツーマンのサポートの重要性を認識しはじめていると感じます。それは高いパフォーマンスの持続には、継続的なサポートが必要であるというシンプルな事実によります。

 しかし多くの中小企業は、まだこのような区別化ができていません。ようやくコーチングの概念を体験的に理解しはじめた大手企業に対して、このままではコーチングに対する意識や取り組みが周回遅れになります。

 ぜひ理解してほしいのは、大手企業よりも中小企業のほうが、単発的な研修は役立たない可能性が高いことです。もういちど繰り返しますが、ここで想定しているのは、社長が4番でエース投手を兼ねるワンマン型の中小企業です。あるいは、そのような傾向のある中小企業です。

 そのような中小企業では、社員が肩書き上は管理職でも、ほんとうの意味でマネジメントの経験を積んでいません。部下のマネジメント経験があるのとないのとでは、コーチングの概念や技術に対する理解力は大幅に違ってきます。もちろん経験とは異なる次元で個人差を考慮する必要もありますが、ここでは一つの大きな鍵として「マネジメントの経験値」があることを理解してください。
もっと平たく言えば、経験や関連知識、技術の習熟度の差からくる学習スピードの差。これをワンマン型中小企業の経営者は理解してください。

 ですから、まず社長がコーチをつけて組織全体の在り方と今後のコミュニケーションの理想像を描くこと。これが成功するコーチングの最初のステップです。
 このトップコーチングの中で組織全体へのコーチング導入法をデザインしていきます。もちろん、その答えは一社一社ちがったものになります。
 ここでオリジナルの「成功するコーチング」を、社長とコーチが一緒に描くわけです。

 このように取り組んでいくと、自ずと単発的な研修ではなく個別の継続的なコーチングがデザインされてきます。単に勉強の時間を業務外につくるのではなく、業務の中でより良い結果を出すための業務上のプロセスとしてコーチングを位置づけるようになります。
 私はこのような導入法を、OJC("オン・ザ・ジョブ・コーチング")と名づけています。

 資金に余裕のある大手企業のように、教育予算をいかに使うか・・・という観点でコーチングを選択肢に入れることは、中小企業には非現実的でしょう。コーチング研修は教育ですが、コーチング(コーチをつけること)は戦略の一環です。
 教育は戦略の道筋が立ち、教育の効果を上げていく土壌が組織に芽生えてきてこそ、実施する意味があります。

 まず社長が自分にコーチをつける。そして自己と組織の軸を明らかにして、次にキーパーソンにコーチをつけて組織を動かすための幹を育てる。ここで"脱4番バッター兼エース投手"化を促していくことで、次のステップへの地固めができます。

 しかし、個別にコーチングを受けていくのはコストがかかりすぎて難しいのでは・・・と考える向きもあるでしょう。そこでもう一つ、中小企業へのコーチング導入において有力な選択しとなる方法を紹介しましょう。

 

 
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